ハーモニーホールふくいの敷地内に、グランドピアノを備えたレストラン、グラン・シェフ・クーゼーがあります。オーナーシェフの久世さんは最初に「アーツハプン!」の取り組みに賛同してくれた方です。設置するきっかけやシェフとしての想いを伺いました。(取材・文/齊藤理子 撮影/上田順子)
飾る場と語る場になれると期待しています
ー作品設置にあたり、何か希望は出されましたか?
「アーツハプン!」の構想をお聞きして最初にお声かけをいただきました。私が「店の雰囲気に合う作家作品であれば」とコーディネーターの浅野さんにお伝えしただけです。大きなガラス窓があり、あまり壁面がないということと、赤と緑の壁紙の店内なので飾る場所をどうしようかと考えました。
ーちょうど装飾的な照明の下に取り付けられたモノトーンの版画がうまくマッチしています。飾ってみての印象はいかがでしょう?
浅野さんが蟻塚くんの作品をまず写真で見せてくれました。版画作品でしたが、参考写真だとどうも分からなくて。実物を持ってきて飾った時に「これはいい!」と感激しました。実物は参考写真よりも何十倍も良かったです(笑)。
飾ってみると違和感がなく、ごく自然に店内になじみました。お客さまも気づかないほどです。それでもあるのとないのとでは雰囲気が違いますし、レストランとしてのグレードも上がったと感じられます。絵ひとつで変わるというのは不思議なものですね。
ー蟻塚さんとも設置前に何度かお話しされたそうですね。福井の若い美術作家を応援したいという気持ちはどこからわき上がってきたのですか?
芸術界の若手も飲食業の若手と同じように職人のような世界の中で生きていると思います。まさしく自分の腕だけで評価される世界で、私自身の経験も重なって若手を応援したくなったんです。シェフだと食べてもらう場が必要で、作家は絵や彫刻を見てもらう場が必要でしょう。
私の店では音楽コンサートも開催しています。美術や音楽だけでなく、その枠を超えて、若手の横のつながりで話し合える場にもなればと思いました。業種は違うけれども同年代で同じような悩みを持つ人たちがいる。「アーツハプン!」は作品を設置する取り組みですが、私は夢、悩み、やり方などディスカッションできる場づくりのひとつになればと期待しています。
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